kyonyの探訪記

茨城を中心に、交通や街並の風景をお届けします。だいたい毎週日曜更新、予定。

千葉県香取市 佐原市街

小野川沿いに広がる歴史的建造物群の夜景

佐原(さわら)は、千葉県北部、茨城県と接する香取市中心市街。2006年までは佐原市という自治体でした。

水郷と呼ばれるこの地域で最も発達した都市である佐原は、利根川水運の集積地であり、商家町として栄えました。市街地は小野川沿いや香取街道(県道55号)沿いに発達し、「小江戸」と呼ばれるその町並みは、江戸末期から昭和初期にかけて建築された歴史的な建造物が今なお点在していることから、1996年に関東地方で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。

佐原駅周辺

▲JR佐原駅小江戸の玄関口にふさわしい、日本家屋的な意匠です。県庁所在地の千葉へは約1時間10分ほど。


伊能忠敬像。伊能図と呼ばれる精巧な日本地図を作り上げた人物です。もともとは佐原の有力な商人であり、セカンドライフで測量の旅に出かけたのでした。


▲ロータリーと駅は2015年から供用されたもの。綺麗です。

佐原駅近傍に、白看*1に似せた案内標識が置かれています。都市整備担当にマニアがいますね。



▲観光案内所が1Fに立地。20円で観光マップが販売されています。

諏訪神社の一の鳥居は道路上に置かれています。


▲並木が美しい諏訪神社の境内。

諏訪神社の近くに伊能忠敬像が建てられていました。市内には四体ほど忠敬像があるとか。



▲駅から小野川に向けての通りは、「東通り商店会」と呼ばれる商店街が延びています。西向きに一方通行。


▲佐原信金本店。佐原の市街地は道が狭いからか、信号機が縦に置かれています。


東通り商店会をさらに東へ進むと「横宿商店街」に当たります。


▲横宿商店会の一本北の通り。こちらも商店が建ち並んでいます。こちらは東向きに一方通行。

小野川周辺


▲横宿商店会を抜けると成田・香取街道との交差点に当たります。


▲この交差点は佐原の道路の中心。成田・銚子・我孫子へ至る街道の交差点でした。






▲香取街道。香取神宮へと至る、佐原のメインストリート。和洋両方の歴史ある建築物が建ち並んでおり、伝統的建造物群保存地区にも指定されています。2枚目の洋館建築は旧千葉合同銀行佐原支店、3枚目のレンガ造りは旧三菱銀行佐原支店の建物。


▲小堀屋本店。佐原の中でも老舗のお店。1782年に創業、店舗建築は明治33年なんだそう。写真は名物の、黒切りそば。昆布が練り込んであります。



▲小野川にかかる橋はその名も「忠敬橋」。ここが佐原の中心地と言っていいでしょう。





▲小野川沿いの風景。江戸から明治にかけての建築物が建ち並ぶ、佐原を代表する風景。





伊能忠敬旧宅。伊能忠敬は佐原で酒造や醤油醸造などを営む商人であり、また名主でした。飢饉などの非常事態には役人との交渉事をまとめ上げ、民衆の支持を得ていたようです。経営者としての立場から退いてからは、幕府天文方で測量技術を学び、あの伊能図を作成するための測量作業へと出かけています。



▲与倉屋大土蔵。これも明治期の建築で、日本最大級の土蔵。年貢米や武器保管庫にも活用されたんだとか。現在では広いスペースを生かしてイベントなども開催されています。

香取神宮




香取神宮経津主神を祀る、全国に400社ある香取神社の総本社。佐原市街から東へ3kmほど行ったところにあります。写真2枚目の楼門と3枚目の本殿は、江戸元禄年間に建築されたもの。

取材時期:2019年3月

*1:道路構造物マニアによる、旧式(昭和25年~46年に設置された)の案内標識らの呼称。