国道350号は、新潟市を起点とし、佐渡航路を経由して佐渡島に上陸し、再び佐渡航路を経由して上越市へと至る国道です。
この国道の特徴は、やはり【航路】が国道指定されている、という点でしょう。道路事情が悪かった佐渡島に国道を通すべく、田中角栄によってこのようなルーティングが考案された、という話は有名です。新潟と上越の都市を結ぶとしたことで国道の要件を満たした、というわけです。
この間のGWのカブ旅で実走してきましたので、レポートします。だいぶ遅筆です(笑)
【目次】
・新潟市区間
・おけさ丸
・佐渡市区間
・あかね丸
・上越市区間
新潟市区間
国道350号は新潟市本町交差点が起点となります。この本町交差点には多くの国道の起点終点が同居しており、7号・8号・113号・289号・350号が起点に、17号・116号・402号が終点に指定されているとても重要な交差点です。大きな交差点ではありませんが、路傍には立派な道路元標が建てられています。
本町を出発した国道は、信濃川に架かる萬代橋を渡り、東港線十字路を北進。しばらく走って新潟市区間が突然終了します。万代島の再開発によって、国道350号の区間が曖昧になっています。 新潟市内区間には単独区間がなく、国道350号を示すものは、道路元標にある里程標に記載されているのみです。
▲起点の本町交差点。商店街が交差する、一見すると何の変哲もない交差点。
▲交差点の角に新潟市道路元標が設置されています。重要な交差点であることが分かります。
▲里程標。国道350号の起点であることが示されています。
▲道標には国道350号線の終点の明記はありません。周辺の青看も国道7号と国道116号のみが描かれています。
▲起点を出発した国道350号は、新潟市街のシンボルである萬代橋にさしかかります。
▲萬代橋を渡ると万代地区に入ります。
▲国道350号は東港線十字路交差点を左折します。青看の表記は国道113号のみ。
▲東港線十字路を折れた風景。佐渡航路のフェリーターミナルまで1km。
▲このあたりで国道350号の新潟市区間が突如として終わります。現地には表記がなく、地図にも載っていないので確かめようがありません。
▲小ネタなのですが、新潟特有の青現示と矢印現示が同時に出る時差式信号が、国道7号バイパスとの交差点にあります。他の県では見られない現示(他は、赤現示と矢印現示の組み合わせ)のため、廃止の動きがあります。
▲朱鷺メッセの展望室から佐渡航路のターミナルを俯瞰。ここからフェリーが出航します。
おけさ丸
新潟と佐渡を結ぶ両津航路は、おけさ丸とときわ丸の2隻が就航しています。ときわ丸は2014年に就航した新造船です。新潟の万代島を出航したフェリーは日本海側を西に進み、約2時間半の航海で佐渡・両津へと到達します。
おけさ丸・ときわ丸ともに1,500名ほどを収容でき、客室は一等・二等・特等・スイートルームを備えています。一等にはジュウタン席とイス席の2タイプがあります。特等以上はホテル並みの設備であり、スイートになると応接室まで備えています。
▲「カーフェリー車のりば」の案内に従って航路を進みます。
▲誘導員の指示に従って誘導されます。バイクでは一番乗りでした。
▲オンラインで予約しておくと、バウチャーのPDFが届き、記載のQRを読み込むとチケットが出てきます。窓口に並ばなくてよいので便利ですね。
▲太陽も昇ってきていざ乗船。ワクワクです。バイクは一番最初に誘導されます。
▲東京港フェリーに続き2回目のフェリー乗船となりました。
▲乗船口にあった「この航路は国道350号線です」の掲示。そう、この佐渡航路は国道指定なのです。他には、鹿児島~奄美~沖縄を結ぶ国道58号が同様ですね。
▲立派なエントランスです。船内は6階建てになっています。
▲二等のカーペットです。フリースペースで雑魚寝も出来ます。
▲一等のイス席。イス席とはいえ靴を脱いで利用します。
▲私が利用したのはジュータン席。前日の寝不足を一気に解消できました。
▲10番席にはコンセントが備え付けてありました。
▲心地よい潮風を浴びながら航海を楽しむことも出来ます。
▲佐渡の雰囲気はすでに自販機から。
▲新500円が使えない……。発行から18年経っていますが(笑)
▲カーフェリー三人娘のコスチュームを着て撮影することが出来るんだそうです。旅の一枚にぜひご利用ください。
▲爆睡していたらあっという間に佐渡島に接近していました。
佐渡市区間
両津港に到着して陸上区間が再びはじまります。両津市街を縦断し、夷二ノ町交差点から内陸に針路を替え、市役所の前を通り、佐和田から海沿いの道に南下、南部の丘陵地帯を抜けると小木港に到着します。
佐渡島唯一の国道で、佐渡の幹線道路です。交通量は多く、なんら変哲のない郊外路といった感じで、ロードサイドショップもそこそこあります。
国中平野と呼ばれる広い平野部にはバイパスが建設中で、一部が供用されています。
▲両津港に到着。おけさばしに迎えられ、佐渡に到着したことを実感。国道は信号機を左折して陸上区間が再び始まります。
▲フェリーターミナルの通りから佐渡市の国道350号区間が開始。向こうに見える交差点を右折。
▲はじめての単体おにぎり出現です。
▲両津夷市街。雁木がかかっており、新潟の市街の雰囲気です。
▲夷二ノ町交差点。左折し内陸へと進んでいきます。
▲行き先は相川を示しています。相川は国や県の出先機関が集中する地区。金山があるのも相川です。
▲千種交差点。ここからバイパスへの接続区間となります。直進の元国道区間は現在県道に降格しています。
▲佐渡市役所と総合病院がこの通りに並んでいます。
▲やがて国中平野の広々とした水田の風景が広がります。
▲バイパスへの接続区間が終わり、国中バイパス区間へと入ります。
▲バイパス区間も水田が広がる快走路。
▲旧道との合流。ここからはロードサイド店が増えていきます。
▲窪田の交差点で国道は左折。河原田本町は佐和田の市街地を指しています。
▲佐和田市街。交通の要衝で、佐渡島の西側で一番大きな市街地です。
▲真野新町。真野鶴で知られる尾畑酒造があります。
▲真野湾越しのドンデン山。佐和田からは海沿いの道で、真野の市街地を過ぎると右手に海が見えてきます。
▲人面岩。確かに、モアイっぽい。
▲はじめて小木までの距離が見えました。
▲しばらくは気持ちのよい海沿いの道を進みます。
▲真野湾を離れて丘陵地帯を進みます。左折をすると一気に海へと下ります。
▲小木の国道区間は隘路です。昔ながらの市街地を抜けていきます。
▲とうとう「止まれ」の標識が現れました。
▲クランク状にに進んでいくようですね。右折した後すぐさま左折。
▲また「止まれ」。ここは左折します。
▲坂を下ると小木港にたどり着きます。
▲小木で有名なのはたらい船ですね。女性の船頭さんが櫂一本で操縦します。旅情を感じます。
あかね丸
小木~直江津航路を約1時間40分で結ぶあかね丸。600名ほどを収容可能で、2015年より就航した新しい船です。あかね丸は高速フェリーで、先代のこさど丸より所要時間が1時間短縮されています。
イスタイプのシートで、一等と二等のみです。
▲新潟港同様に誘導されて待機列にて待ちます。
▲ターミナルビル。1Fは食堂と売店、待合室が備えています。
▲ターミナルビルに航路が国道350号であることを示す看板が付けられていました。自治体名が合併前のままですね。
▲あかね丸が着岸。いざ乗船です。
▲先頭にある一等の70席は「ときクラス」と呼ばれています。
▲二等座席も座り心地は決して悪くありません。
▲物産品を購入することが出来る売店が備えられています。
▲出航。さようなら佐渡。旅情を感じる風景ですね。
▲哀愁漂います。また来るよ~。
上越市区間
上越市区間には2kmほどの単独区間が存在します。短い距離ながらも、直江津港と国道8号・18号とを結ぶ重要な道路となっています。
▲早速おにぎりが立っていました。
▲春日新田交差点からは4車線区間となります。ロードサイド店も増えてきます。
▲終点の下源入交差点。直進の長野方面18号バイパスは、ほぼ自専のような区間となるため、小特・原付・軽車両が進入できません。周囲を見渡してみましたが、国道350号が終点であることを示す看板などはありませんでした。
いかがでしたでしょうか。陸上区間は至って普通の道路、という感じでしたね。佐渡の雄大な自然を感じる道、というよりかは、地元の人々の大切な生活道路という様相でした。
筆者は2時間程度のフェリーは今回が初体験でした。三半規管は弱い方ですが、特に船酔いすることもなく、快適な航海でした。あかね丸はイスタイプのシートでしたが、船酔いされた人のための専用ジュウタンエリアというものも設けられています。
また今回は、バイクでの走破でした。フェリーに積載できるバイクの数は少なく、すぐに埋まってしまうそうです。バイクで来られる方はお早めにフェリーの予約をしておくことをオススメします。