富山県西部を走るJRのローカル線、氷見線・城端線。高岡を起点に、山と海を走る路線です。 そこを走るジョイフルトレインが「ベル・モンターニュ・エ・メール」通称「べるもんた」です。
今年の2月に乗ってきましたので、その乗車記録について書いていこうと思います。
べるもんたとは?
"Belles montagnes et mer"は、フランス語で「美しい山と海」という意味。べるもんたが走る両路線では、富山を象徴する景勝を望むことができます。
高岡から能登半島方面へと北上する氷見線は、富山湾の雨晴海岸の際を走行します。晴れていると遠くに立山連峰を望むことができます。一方、高岡から南下していく城端線には、砺波平野の散居村と医王山系の山並みの風景が広がっています。
べるもんたでは、ポスターに載っているような美しい車窓を眺めながら、地酒・地魚を楽しむことができます。
乗車までにすること
べるもんたは、全席指定席ですので、まずは座席を予約します。
みどりの窓口か、JR東日本の「えきねっと」やJR西日本「e5489」などのオンラインチケットサイトで指定席券を予約することができます。指定席券は1座席530円です。 快速列車扱いで、指定券と乗車券があれば乗車することができます。
それとは別に、車内で楽しむ食事を別途オーダーすることができ、それはJRのチケットサイトではなく、特設サイトから事前に予約します。予約時に、乗車予定の列車と座席番号を入力するので、予め指定席券を確保しておきます。 料理は当日、在庫があれば車内でもオーダーは可能ですが、事前に予約しておくほうがよいでしょう。
料理の予約は必須ではありませんが、せっかくの特別列車ですので、予約しておくことをオススメします。
べるもんたでの体験
私は土曜日、城端線を走るほうのべるもんたに乗車してきました。
私が住む茨城から、JR高崎駅まで車で行き、パーク&ライドして北陸新幹線「はくたか」に乗車。2時間ほどで新高岡駅に到着しました。新高岡駅は高岡市街の南方にある、北陸新幹線と城端線の乗り換え駅です。北陸新幹線の速達列車「かがやき」は新高岡駅に停車しません。
つやつやとした深緑色に、金色のラインカラーをまとったキハ40がやってきました。これが「べるもんた」です。前方幕にも「べるもんた」と書いてあります。
乗車すると記念乗車証が配布され、当日のきっぷを記念品として収納することができます。
車内での食事は「D ほろ酔いセット」をオーダーしておきました。ほろ酔いセットには沿線自治体の地酒お酒1杯と、おつまみ4種類が提供されます。
4種類と書いてあったのですが、カニ・白エビ・イクラ・ホタルイカの沖造りと、「しろえび小判」というおせんべいが提供されました。これを、砺波市に蔵がある若鶴酒造の「苗加屋」で頂きます。「苗加屋」は旨味、香りが豊かで、しっかりとした味が特徴的です。それに、味わい深いおつまみがとても合いまして、最高です。
座席はカウンター形の座席と、4人で座るボックスシートがあります。ボックスシートにも折りたたみ式のテーブルがあります。各座席にはアクリルのパーティションで区切られており、感染症対策が取られています。
車内の氷見側には鮨カウンターがあり、職人も添乗していて、車内で寿司を握ってくれます。また、鮨カウンターの横には物販コーナーがあって、乗車記念品などを購入することもできます。
車内中央には、砺波市の伝統工芸品である「庄川挽物木地」「越中三助焼」の茶碗や湯飲みなどの、工芸品の展示が、カウンター座席の端には「井波彫刻」が展示されています。吊革も特別で、高岡銅器の銅箔と沿線4市をイメージした装飾があしらわれています。
べるもんたの車窓
カウンター座席は東側に設けられていますので、氷見線では雨晴海岸の風景を楽しめます。ボックスシートは西側に設けられており、城端線では医王山系の山並みを望むことができます。
城端線の風景は、カイニョという屋敷林に抱かれた散居村集落が特徴的。カイニョは家を風雨雪を防ぐ役割がありますが、維持が大変で、数を減らしているようです。冬場は一面の雪原の中に、夏場は水田の中にある、まるで絵画のような散居村の風景を望むことができます。
福野駅近くでは沿線住民の皆様が出迎えくれました。
終点・城端駅
高岡から約50分程度で終点の城端駅に到着しました。
城端線の終点駅で、線路はここで終わり。ここからは、世界遺産の合掌造り集落である、五箇山方面へのバスも出ています。
南砺市城端は見所が多い町です。 善徳寺の門前町として、そして五箇山地方との交易で発展した城端は、「城端曳山祭」と「城端むぎや祭」で特に有名です。
駅から少し離れたところにある中心市街地には「城端曳山会館」という祭を紹介する展示施設があり、にぎやかな祭の雰囲気を感じることができます。
「城端むぎや祭り」は毎年9月の半ばに、民謡・むぎや節にあわせ、傘を用いながら男衆が踊り歩きます。同じく城端の中心市街に立地する「じょうはな座」では、実際にむぎや祭りに参加して踊る町内の人々による実演が楽しめます。
乗車後は……
城端に行ったとあと、再びべるもんたで折り返して高岡に到達しました。
高岡は、あいの風とやま鉄道、JR城端線・氷見線のほか、万葉線という新湊方面への列車が乗り入れる、一大ターミナルです。
私が高岡に行ったら必ず寄るのが「吉宗」のカレーうどん。普通のうどん屋さんですが、大多数の客がカレーうどんをオーダーします。相当濃厚なカレー汁で満たされており、食べ応え十分です。万葉線の市民病院前電停で下車して、徒歩5分程度です。
万葉線の終点である新湊は、冬の時期はカニの水揚げが盛んです。新湊市街地の東側には「きっときと市場」と呼ばれる海鮮品が並ぶ市場があります。茹でたカニが並んでいるほか、珍しく昼間にカニのセリが行われます。要予約ですが、セリを見物するのも面白いかもしれません。万葉線東新湊から徒歩7分程度です。
おわりに
富山県はどこを切り抜いても絶景を見せてくれるのですが、「べるもんた」はその風景にプラスして特別な体験をさせてくれる列車です。
ぜひ一度、乗ってみてはいかがでしょう。