茨城県道11号・取手東線は、取手市から利根川沿いを東進し、稲敷市西代(旧東町)へと至る、主要地方道*1の県道です。
この路線は、起点の取手市街出発すると、あとはひたすら、利根川北岸沿いの広大な水田地帯を走る長閑な道です。1982年に主要地方道として認定されてから改良が進んでおり、概ね走りやすい道なのですが、制定当時から改良ほとんどが加えられていないであろう狭隘な区間が存在します。
取手市街の国道6号のインターチェンジから県道11号がスタートします。起点付近には、年代物の青看が立っていました。
取手から30分ほど走ると河内町との境にたどり着きます。この記事で取り上げる狭隘区間は河内町に存在します。この河内町は、利根川と新利根川に挟まれ、町域のほとんどが干拓によって開発された土地です。
河内町に入ってすぐに県道68号との分岐が現れます。交差点には真新しい青看が設置されていますが、周辺の道路は徐々に改良が加えられている最中で 右折の県道11号の幅が細く描かれています(笑)
先ほどの青看を右折すると、再び県道68号との分岐が現れます。現在この県道68号美浦栄線は、若草大橋有料道路がバイパス路として開通しており、この区間は現道という扱いになります。右折しても利根川を渡河する橋はなく千葉方面へは行けず、若草大橋が開通するまでは分断区間になっていました。
分岐を過ぎると、大型車進入禁止の区間になります。
生板の集落に入る前に、30km/hの速度制限が設けられます。いよいよ、細い道に突入します。
これが、生板集落の隘路です。集落中心を貫くため拡幅は容易ではないようです。周囲は小学校があって通学路になっている一方、河内町から取手方面へ抜ける最短ルートのため、交通量はそれなりにあります。
道を跨ぐ横断歩道の白線は3本、道幅の狭さが伝わると思います。これでも、制定から30年以上は主要地方道として制定されている道なのです。
集落を抜けると50km/hに戻り、道幅が回復します。
しかし再び、家が密集する区間になると、もとの隘路に戻ります。
狭い集落を抜けると道幅の広い道路との交差点に出ます。なんの案内もありませんが、県道11号はこの交差点を右折して、河内町中心部へと進んでいきます。
こんな感じで、トヨタ・ヴォクシーで道幅が一杯になり、離合は難しい道です。
右折するとまともな道に出ます。この太い道路は龍ケ崎方面へと続いており、先ほどの交差点より西(写真だと左折)は、県道121号として整備されています。昔から龍ケ崎と河内町とを結ぶ路線として、一体的に整備されてきたようです。
河内町中心部の側から、先ほどの交差点を振り返ってみます。取手方面のほうが路線番号的にも若く、「千葉・成田方面」などと案内がでていますが(しかも真新しい)、あの隘路に突入するわけです。しかも小さく「大型車左折できません」と記載。もっと堂々と記載したほうがいいように思えますが……。
県道11号は、この交差点を信号手前から左折するのですが、一見するとただの生活道路にしか見えません。そのためか、ポールや道路ペイントに、取手へと至るアピールが施されていたりします(笑)
狭隘区間に唯一立っているヘキサ*2。現在地を示す看板には「町」への修正が施されています。河内村は96年に町制施行したので、このヘキサは25年以上経っていることになります。
さて、この生板地区の隘路も、近々バイパスによって改良される予定です*3。主要地方道としてのこの狭隘区間の風景は、あともう少しで見られなくなることでしょう。
取材時期:2019年5月