国道294号の福島・栃木県境が「境の明神」峠です。その名の通り、この峠には栃木側・福島側それぞれに神社が鎮座しており、旅人の往来を見守っています。
「奥州三古関」のひとつとして有名な「白河の関」は、この場所から東に少しそれた旗宿という集落に存在し、この地ではありません。しかしながらこの国道294号も由緒のある道であり、那須町芦野から白河城下にかけては五街道の一として整備された奥州街道の街道筋を踏襲しています。「奥の細道」にて奥州へと向かった松尾芭蕉も、この峠を通って、白河に入ったわけです。
峠の頂上で県境となる切通しは、往時を偲ばせる風景が広がっています。
▲栃木側には駐車場があり、車でも安心して県境を見学することが可能です。
▲栃木側に鎮座するのは玉津島神社。道中安全の神として、かつては多くの旅人が参詣したそうです。
▲現代の県境標。「うつくしま、ふくしま。」のキャッチコピーは1991年より使われ、こうした看板は主要道路の県境に置かれています。栃木も、主要道路の県境には、こうした県境を示すモニュメントが置かれています。
▲一方で、いにしえの県境標。切通しの斜面に向かい合うようにして建てられている2つの石碑があり、一方は「従是北白川領」と書かれています。
▲福島側に鎮座する境神社、こちらは住吉明神を祀っています。栃木側の玉津島明神と対となっており、女神(玉津島明神=衣通姫)は内、男神(住吉明神=中筒之男神)は外を守るという信仰に基づいています。
▲二所之関址。白河の関守だった家の子孫と学者が、当地にも関所址があるということを確認したという旨の内容が記載されています。
▲切り通しの風景。明治期の国道改築を経つつも、今なお、かつてを偲ばせる風景が残っています。