kyonyの探訪記

茨城を中心に、交通や街並の風景をお届けします。だいたい毎週日曜更新、予定。

「秋田ブラック」を食べに行こう

現在、金曜の午後7時。

仕事を終え、車で水戸に向かい、駅ビルでちょっとした買い物を済ませたところでした。国道6号を北上すれば家に着くのですが、なんとなく、違う方面へと車を走らせてみようと思いたちました。


いざ、東北へ。

明日は土曜日、このままどこかへ行ってしまおうと思える心の余裕がありました。車には寝袋と着替えは常備してあり、とりあえず眠くなるまで走ってみることにしました。

いま走っている国道118号は、水戸を起点に、久慈川沿いを北上して福島県へと至る国道。矢祭から先はよく走っている区間なので、大子町で国道461号に折れ少し西に向かい、栃木から福島に入ることにしました。
大田原市黒羽で国道294号に出ます。この道は、松尾芭蕉も通った奥州街道を踏襲する国道。那須野が原の長閑な田園地帯を過ぎ、少し山道に変化したかと思うと、境の明神の狭い切通しが現れ、福島県白河市に入ります。

浅い夜がもたらす、遠距離ドライブの気運

白河の小峰城が見える交差点で、時刻は22時少し前。まだまだ疲れがやってきません。とりあえず国道4号に出て、さらに北上することにしました。

この時間だと、天下の4号も流れはスムースで、ストレスを感じません。立派なあさか野バイパスに入ると、流れはもっと良くなります。
郡山を過ぎて、本宮で給油し、二本松バイパスに入ります。このバイパスはほとんどが立体交差であり、さながら高速道路の様相。そのまま福島市に入り、伏拝交差点で久しぶりの信号機にさしかかると、眼下には福島市街の灯りが見えました。

このまま仙台へ向かうのも良いのですが、国道4号もまあまあ走った経験がある道でなので、あまり行かない山形方面へと向かうことにしました。
福島市街に入り、国道13号の起点である舟場町交差点を左折すると、 秋田 305km の文字が目に入りました。

f:id:kyony1024h:20200211163902j:plain
舟場町の距離看板
これ……、秋田行けちゃうのでは?

ということで、「国道13号制覇ドライブ」という、このドライブのサブタイトルが決まりました。
と同時に、あることを思い出していました。

『そういえば、「秋田ブラック」 なるラーメンがあるって聞いたことあるな……。』

この『秋田ブラック』は、秋田市山王が本店である「末廣ラーメン」が提供するラーメンのこと。東北の各県に支店があり、京都の有名なラーメン店である新福菜館がルーツとなるラーメン。
深夜ドライブに、ラーメンはつきもの。もう一つの目的も決まりました。食が絡むと、途端にやる気が出てきます。だから痩せない。

迷いもなく、雪が少しある、栗子峠の万世大路を突き進んでいきました。

f:id:kyony1024h:20200208220324j:plain
山形県

山形の立派なバイパス群

国道13号は、山形県を縦断する大動脈。

自専で米沢の郊外を通過し、赤湯の市街地を抜けると、上山<かみのやま>バイパスに入ります。ここから4車線の立派なバイパス道路が、尾花沢までの60km、延々と続いています。深夜帯に入っていたので、相当スムースに巡航することができました。

県都・山形に入ると、バイパスは立派な立体交差が連続し、ロードサイドの店も増えてきます。昼間は混雑しているであろう区間も、相変わらずの巡航速度で通過。天童を過ぎると店が減ってきて、山形盆地の広々とした土地を一直線に北上する道となります。

尾花沢で4車線の道路が終了し、対面通行が久々に始まりました。このあたりで山形盆地は北端を迎え、道路両脇の風景の山が近くなってきます。

やがてロードサイドショップが増えてきます。ここは新庄。
豪雪地帯として知られますが、今年は暖冬なので、全く雪はありませんでした。
金山町をすぎて、県境付近は自専が整備されています。

『わたしゃ真室川梅の花~』
真室川町。いよいよ山形県の最北端。この町の雄勝トンネルを越えるといよいよ秋田県。とても快走路だった山形県内は何時間で駆け抜けたのか、記録がありません。写真も撮らず車も止めず、ずーーーっとひた走ってきたわけです。おかげで山形県の写真は板谷大橋の1枚だけ。

秋田県に入る

秋田県内に入ると、院内道路・湯沢横手道路という自専が整備されています。湯沢横手道路は湯沢から北が有料になるので、途中の三関ICで現道に。

湯沢・横手・大曲と大きな街を経由すると、山道に。この長い山道を越えると、いよいよ北日本の有数都市・秋田にたどり着きます。

f:id:kyony1024h:20200211172759j:plain
夜明け前の秋田駅

ついた……。
秋田に来てしまった……。

福島を23時に発って、国道13号をひたすら北上して5時間ちょい、秋田駅に到着しました。途中全く休憩を入れませんでしたので、さすがに少し疲労が。こんな疲労感にはラーメンの塩気が必要だ。

「エリアなかまち」の駐車場に車を止め、24時間やっている「末廣ラーメン本舗」の秋田駅前分店に出かけました。

f:id:kyony1024h:20200211173843j:plain
準備中の秋田駅前分店

のれんは出ているが、閉まっている……。どうやら朝6時から再開するみたい。
車で一眠りしてから出直すことにしました。

目的のラーメンへ。

f:id:kyony1024h:20200211174012j:plain
開店した末廣ラーメン本舗

明けた朝の秋田は土砂降りでした。悲しくなるくらいのどっしゃどしゃ降り。
こんな日に街を歩くのは御免なのですが、さすがに秋田まで来て何もしないのも……だったので、一回はフラれた秋田駅前の末廣ラーメン本舗へ。開いてた。よかった。

座席はカウンターのみ。ラジオが流れる店内には、僕とお店のひとの2人だけ。朝8時からラーメンを食べようなんて人はいないのでしょう。24時間営業のおかげで、朝ラーができるのはありがたい、地方では貴重。

京都の新福菜館がルーツの、この「中華そば」。黒色のスープは、さぞかし塩っぱかろうという見た目ですが、そんなことはなく、どちらかと言えばあっさり系のラーメン。濃口醤油の香りがとても心地よい。
うまい、うまいぞ。夜通し車を運転してきた、疲れた体に染み渡る、醤油ラーメン。

麺は中太のストレート麺。具はシンプルに薄切りのチャーシューのみ。ネギはカウンターの上にボウルで置かれていて、セルフサービス。

このお店のもうひとつの名物なのが、この黒い「やきめし」。こちらも醤油の香りが漂うチャーハン。パラパラです。こちらも、見た目ほど塩っぱくはありません、丁度いい味付けです。

朝っぱらから、ラーメンとチャーハンのセット。満腹でした。

f:id:kyony1024h:20200211174235j:plain
末廣ラーメン本舗 中華そば
f:id:kyony1024h:20200211174238j:plain
ヤキメシ

土砂降りの秋田市

せっかく秋田までやってきたので、街並みを探訪しましょう。

しっかしよく降る。風も強い。
あっという間にビッショビショに。せっかくラーメンで温まったのにこれでは……。

秋田駅は市街地の東端。ここから西へ1.5kmほど行くと、夜の街・川反。ここで折り返して、秋田駅に戻ります。

秋田市街は、苦境に立たされる典型的な地方都市というような感じ。市街に百貨店が、西武と地場の木内<きのうち>の2つがあります。木内百貨店は、一週間のうち水・木・日が定休日で、フロアも1Fのみ。想像するデパートとは大きく異なりますが、でも、品物は確か、店員はすべて社員、おつりはピン札で返って来るという、伝説の百貨店と言われています。

久保田城跡なども見て回りたかったのですが、あまりにも雨が酷かったので、1時間ほどで退散することに。
秋田スィーツの「バナナボート」をコンビニで調達し、エリアなかいちの駐車場まで戻ってきました。

f:id:kyony1024h:20200211180752j:plain
土砂降りの秋田市
f:id:kyony1024h:20200211181755j:plain
木内
f:id:kyony1024h:20200211180830j:plain
土砂降りの川反
f:id:kyony1024h:20200211181453j:plain
バナナボート

帰るか。

やることはやったので、あとは帰ります。

国道7号を南下し、途中「道の駅岩城」に寄りました。この道の駅には「港の湯」という温泉があります。なんと入浴料は310円。やっっすい!!
日本海に面し、眼前の景色は大海原。露天風呂は、台風で被災した屋根のない家みたいな雰囲気で妙な感じでした。相変わらず土砂降りだったし。

本荘から内陸に入り、古川まで国道108号を走ります。仙台に行くため。東北に来たので、田舎者の私は大都会仙台に寄らない手はない。

仙台に到着。17時を回っていました。やはり東北は広い。

今回は一番町の喜助で牛たんを食べます。麦ごはんのお替わりは無料じゃなかった。そうだったっけ。

朝市の魚臭いビル*1に寄って、S-PALの地下でバラの萩の月をしこたま買い込み、ずんだ茶寮でずんだシェイクを買うという、ルーティーンをこなして、仙台をあとに。

茨城の自宅に到着したのは、24時を過ぎていました。この日はほぼほぼ運転していたようです。

f:id:kyony1024h:20200211183659j:plain
由利本荘だんご三兄弟
f:id:kyony1024h:20200211183109j:plain
仙台の推し
f:id:kyony1024h:20200211183922j:plain
喜助の牛たん

あとがき

秋田、案外行けちゃうんだな。

Google maps のタイムライン機能によると、1,200kmほど走ったみたいです。

また行ってみたいとも思いますが、しかし、末廣ラーメン本舗は仙台にも支店があり、もっと言うと最寄りは高田馬場にあったりします。

秋田に行く用事、他に作らねばなりません。
次は川反でお酒が飲みたいですね。僕の好きだった郷土料理屋さんはずいぶん前に閉店してしまったみたい。

次の秋田は、きりたんぽ鍋を、高清水で一杯やりたいですね。