生地(いくじ)は、黒部市の港町。生地の中心部にある「生地中橋」は普通の橋とは違う、ある機能を持っています。この橋、なんと“動く”のです。
生地中橋は黒部漁港の港口にあって、船が往来する際に、車の交通を遮断、橋が動いて、船を通します。
船が漁に出る際に橋が動くので、1日のうち結構な回数で橋が動きます。国内にあるこうした回転を伴う可動式の橋は、天橋立にある廻旋橋が知られていますが、これは橋の中央を軸に動くもの。
生地中橋は片側を軸として回転するもので、こうした方式の橋は日本でここだけと言われています。
この珍しい風景は2006年に「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に指定されました。
▲近傍にある黒部漁港。橋はこの港と海を結ぶ水路にかかり、ここを発着する船がすべてあの橋にさしかかります。船の大きさによってはくぐり抜けられるものもあり、船が来るたびに橋が動く、というわけではなさそうです。
▲橋の南側袂にある操作室。ここに連絡が行き、橋を回転してもらうという仕組みになっているようです。
▲橋が動くタイミングを示していますが、ガムテでマスキングされてますね。要は看板の通りに限らず、船が必要とするときに橋が回転するので、回転する姿が見られるのは時の運というわけです。
▲橋の手前にある信号機。1枚目は道路側、珍しい「赤・黄・赤」の構成です。普段は黄色点滅、橋が動くと赤が現示します。2枚目は水路側、こちらも珍しい二眼の信号機。船が通行しているときも赤現示だったので、どのようなパターンがあるかはわかりませんでした。
▲橋が動くときは、まず遮断機が下り、交通を遮断します。橋が少し持ち上がったあと、内陸に向かって回転します。
■生地中橋
[所在地] 黒部市生地四十物町
[アクセス] 北陸道黒部ICから約30分
取材日:2016年10月